君と歩む夢みて~時は平安~
「天竜…っ。私はいったい…何を…っ」
異常な胸騒ぎがさっきから止まらない。
「何か…あったのですか?」
私を宥めながらその訳を聞こうとしてくる天竜。
私を撫でる天竜の手は…いつも温かい。
「胸騒ぎが…するのだ。」
「何故です?」
「私にも…良くわからぬ。貴族たちの陰口など…慣れていたはずなのに…何故か怖く思うのだ。」
安心したのか、少し落ち着いてきた。
ゆっくりと天竜に先程あった出来事を話す。
「私にも…心当たりはありませんが…。恐らく、咲威と弦も。」
「そうか…」
その時だった。
部屋の襖が開き、多恵が正座をして頭を下げている。
「多恵…?」
多恵から発せられた言葉に…