君と歩む夢みて~時は平安~
「天皇。黄泉です。」
天皇の部屋の前。意を決してそう、言い放つ。
「入れ」といういつもより低い声。
…やはり、何か悪いことみたいだな。
ゴクリと生唾を飲み込み、深呼吸。慌ただしい心臓を落ち着かせた。
「天竜、入るぞ。」
「はい」
ゆっくりと襖を開ける。
「失礼致します。」
深々と頭を下げ、前にいる天皇を見た。
予想通り、酷く険しい顔をしている。
眉を真ん中に寄せ、こんな険しい顔の父様を見たのはいつぶりだろうか。
「黄泉よ…呼ばれた理由は、わかるな?」
「はい…」
その場に座り、天皇を反発するかのように見据えた。
私の予感が当たっていれば、それは…
でも、私は間違ったことはしていない。
「黄泉…わかっているな?」