君と歩む夢みて~時は平安~
あのとき、思った予感が当たらない事を密かに願っていた。
だけれど、やっぱりそんな淡い願い、叶うはずなんてなく。
胸が渦を巻いた。
勿論、嫌な意味で。
そんな私にとどめを刺すように父様は言う。
「やはり…お主には無理だったようだな。
身分の差をなくすなど…所詮は夢見にすぎん。」
……返す言葉が考えられない。
「…なにも言えぬようだな。黄泉、異論はなかろう?」
父様の険しい表情に恐怖さえ覚えた。
「顔をあげよ。」
一段と低くなった声色にビクッと体がビクつく。
「黄泉!」
「は、はい…」
見上げた先に見た…父様の顔。
やはり、優しさなんてものは微塵も感じられない。
あるのは…怒り。
娘である私の情けなさに対する怒り…。