君と歩む夢みて~時は平安~
何を言われるのだろうか。
本当に今度こそ…空の上かもしれない。
なんで、バレてしまったのだろうか。
そんな怪しい行動、微塵も見せていなかったはずなのに。
ふと、目に入った自分の手。恐怖からかカタカタと震えをみせている。
ー…っ。
「て、天皇…わ、私は…」
間違っているとは思えません。
この言葉が言えない。
金縛りにあったかのように、なにもできない。
相手は国を束ねる天皇。私は天皇の娘といえどただの貴族。
反論すれば、仕打ちがさらに酷くなるのは目に見えていた。
目の前が霞んでくる。
鼻の奥がつーんっと熱くなり、目頭に涙が溜まっていた。