君と歩む夢みて~時は平安~
馬鹿だ。
私は大馬鹿者だ。
何故…一瞬でも弦と咲威の事を疑ってしまったのだ。
あんなに、慕ってくれる2人のことを…
「何、険しい顔をしているのだ。黄泉よ。」
「天皇…私は、間違った事をしてしまったのでしょうか?」
あの2人の、祝福や意志を無駄にしたくない…っ。
私は、勇気を振り絞って思っていたことを口に出した。
「何…っ?!」
いきなりそう言う私に、顔をしかめる天皇。
私の顔を伺うように見れば、こう言う。
「天竜、席を外せ。また、呼ぶと思うが。」
「え…」
予想外の言葉に、天竜はゆっくりと顔を上げた。
不思議そうな顔をしながらも、
「はい…」
と、相槌をうち部屋を出て行く。
私を心配そうに見つめていた。
名残惜しそうに襖が閉じられ、私と天皇二人きりの空間。
天皇の横にいた、防衛の人たちも天竜と同じようにいなくなっている。
これから言われる、予想ができない言葉に身構えた。