君と歩む夢みて~時は平安~
無力
ピシッとした嫌な緊張感が漂っている。
カタカタと震える手に動揺は隠せない。
天竜が部屋から出て行ってどれくらい経っただろうか。
未だに、天皇は言葉を発さない。
そんな天皇に、話を切り出す勇気がない私も、また沈黙に身を任せていた。
ピシッとしたこの緊張感に、息が詰まりそうな感覚が押し寄せてきている。
「黄泉…」
ビクッ
シーンとした中の、急な言葉に身体が驚いてビクついた。
天皇は構わずに続ける。
「お主の意見を述べよ。」
「…………え?」
「お主が、そう思う理由について述べてみよ、と言うておる。」
急な展開に頭がついていっていない。
私が…そう思う理由…?
「…え……え?」
「何故、お主は農民とそこまでしてでも一緒にいるのだ。…関わっていて損することばかりであろう?」
天皇のその言葉にようやく、頭が落ち着いた。