花が散る頃に去った君
外に用事があるわけでもないのに、


部屋に居たくない。

…という一心で、家を出た。



どんよりと淀む空の下、虚ろな瞳で町を歩いた。


目的も無くフラフラと



それでも身体はいつもの癖で、繁華街に向かっていた。





賑やかな繁華街、

艶やかな表通りから一歩路地に入れば、喧嘩が絶えない。




どこかのチームとチームの縄張り争い。



たまたま見付けてしまったのか、それても捜していたのか、


目の前で殴り合う、多数の男達



「通れない…」



ポツリ、一滴空から雫が落ちてきて頬を伝った。


耐えきれなくなった空が、ポツリポツリと涙を流し始めた。




俺はそんな淀んだ空を見上た。


その空と同じ色、目の前の男達を映す瞳の色。




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