Sweet〜甘クチ王子様と夏の恋〜
4章 秋の入口
☆昴のケジメ☆
あの日から
私に対する嫌がらせもなくなって
いつもと変わらない日々に戻った
1ヶ月半前に戻っただけなのに
私の心はポッカリ穴が開いてしまったように
淡々と過ぎていく毎日をぼんやり過ごしてる
あんなに毎日通っていた中庭も
今は行く事もない
昴君との想い出だらけのあの場所に行ってしまうと
幸せだったあの頃を思い出してしまいそうで
怖かった……
「……音…」
「萌音!!!」
「へっ??」
呼ばれて振り向くと杏ちゃんが立ってた
「あっ…ごめん。何??杏ちゃん」
「何じゃないよ!今日体育祭の総合練習だよ!着替えなくちゃ。」
あっ…そっか…
「ごめん、忘れてた」
力無く笑いながら答えると杏ちゃんは溜め息を吐いた
「はぁ…最近ぼんやりし過ぎ…」
「ごめん……」
もぉ一度謝ると複雑な顔した杏ちゃんが
何か言いたげに私を見つめた
「萌…音さ…」
「うん??」
「……何でもない。行こっ!」
言いかけた言葉を飲み込み
体操服を持った私の手を引いて
ロッカーに向かって歩きだした