Sweet〜甘クチ王子様と夏の恋〜
震える足を必死で抑えようとすると
−カラン……
手からバトンが落ちてしまった
あっ……
バトンを拾い素早くしゃがみ込み隠れたけど
男の子達はその音を聞き逃していなかった
「誰だ……」
坊主頭の男の子があの時と同じ不機嫌な声を出す
出て行けるわけも無くて
私は口元を自分で押さえて息を殺した
お願い!!
向こうへ行って!!
祈る気持ちで隠れてるけど
「おい…見てこい…」
って更に不機嫌な声を出して残りの二人に命令した
「あぁ……」
カツン−カツン−……
一歩、二歩と近付いてくる足音に
今にも泣きそうになる
ヤダ……
お願い来ないで……
誰か
昴君……
昴……
あっ……
別れたのに来てくれるわけないじゃない
こんな時まで別れた昴君に助けを求めるなんて
どこまで馬鹿なんだろう……
私が自分の身勝手さに呆れてると
頭の上から
「あっ…居た。」
って声がした