Sweet〜甘クチ王子様と夏の恋〜

あの全てを見透かされてるような眼差しに見つめられると


逃げられないような気がしてしまう


触れられた指から伝わる感触は昴君とはまた違う


大人の匂いがして


今の辛い現実を忘れるために流されてしまいそうだった


私やっぱりおかしいよね


いつからこんな優柔不断になったのかな


ついこの間までは昴君への気持ちは確かなもので

揺るがない自信もあったのに


今は……


これって揺れてるって事なのかな

昴君と青矢先輩に


自分でもよく分からなかった


とにかく今は青矢先輩には会いたくない


これ以上気持ちが乱されるのが怖いから




−−キンコーン…


「はい今日はこれでおしまいね。」


気付いたら午後の最後の授業の英語が終わってた


最近こんなのばっかり


考え事してると一日があっという間に過ぎていってしまう


−−ハァァ…

思わず溜め息が出る


そのあとのホームルームも上の空で


終礼が終わると

杏ちゃんは今日名波君と放課後デートで居ないから

一人で帰る仕度を始めた


溜め息をつきながら教科書を鞄の中に閉まっていたら


「萌音……」


って後ろから声を掛けられた



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