Sweet〜甘クチ王子様と夏の恋〜
「なんなのアンタ…」
愛瑠ちゃんが睨みながら言った
「何なのって…」
「別れたんならちゃんと振ってよ!!じゃなきゃ私が昴と付き合えないじゃん!!」
「えっ…」
愛瑠ちゃんの言ってる事がよく分からない
そこにはいつもの優しい姿でもなく
あの日昴君を好きだと泣いた姿でもない
ただ激しく罵倒する彼女の姿があった
「別れたと思って喜んでたのに、昴はねぇ萌音の物じゃないの愛瑠の物なの!!
アンタはたまたま気まぐれで付き合って貰っただけなんだよ!!
今まで優しくしてやったんだからちゃんと私の為に動いてよ!!」
動くって…
愛瑠ちゃんの言動に驚きながらも
「動くってなに?それに昴君は物じゃないよ…なんかおかしいよ…」
精一杯言葉にした
「はっ??何言ってんの?萌音の分際で口だしすんな!アンタは黙って早く昴をちゃんと振ればいいんだよ。そしたら私がちゃんと昴を癒すから…」
「愛瑠ちゃん間違ってるよ。そんな事しても昴君は愛瑠ちゃんを好きになったりしないと思うよ…」
愛瑠ちゃんの言葉が信じられなかった
そして
この子の為に昴君と別れてしまった自分が情けない
そんな気持ちで一杯になる
「うるさい!!」
怒鳴ったあとにニヤッと不気味に笑いながら
「萌音さぁ…また襲われたいんだ?松田達じゃなくてもアンタの事可愛くて食べちゃいたいって子たくさん居るんだよ??」
って囁く愛瑠ちゃんの言葉に
あの日の恐怖が一気に蘇ってくる