Sweet〜甘クチ王子様と夏の恋〜

だけど


昴君が好き


その筈なのに


私は先輩を振りほどく事が出来ない


何で…


先輩に見つめられると身体が動かなくなる


気持ちはハッキリしてるのに


私変だよ…

断るって決めたんだから離れなくちゃダメなんだよ


自問自答を心の中で繰り返す私に


「お前は大羽が好き、でも俺の事も好きになり始めてるって事だろ」


青矢先輩が今度は優しい穏やかな口調で話し出す


「でもそろそろお前もハッキリさせろ、てかハッキリしてもらうぞ。」


え……


「大羽の亡霊、俺が追い出してやる。」


そぉ言うと私の身体を引っ張り


屋上の小さな壁と壁の隙間に押し込んだ


「先輩!!」


「いいから黙って見てろ。」


それだけ口にすると私から背を向けた


なに…


なんなの…


意味がわからないよ


頭が混乱していると


屋上の扉が開いたのが分かった


誰か来た??


黙って耳を澄ましていると


「こんなとこに呼び出して何ですか…」


って相手が言った


この声…!


壁の隙間から少しだけ顔を出すと


そこには


険しい顔した昴君が立っていた


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