Sweet〜甘クチ王子様と夏の恋〜

放課後

私は最後の実行委員会へと向かう


杏ちゃんには『平気』って言ったけど

心の中は緊張で一杯になり


会議室に近づくたび心臓の鼓動が早くなっていった

…ドキドキ…


こんなんじゃダメだ!!


もっと強くならなくちゃ!!



自分の心に喝を入れながら


会議室へと向かい



扉の前まで来て大きく深呼吸して


−スゥ−ハァ…


よし!!


−ガラッ!!


勢いよく扉を開けた



「2Eの中尾です。」


言葉にして顔を上げると


あっ……


椅子に座った青矢先輩がこっちを見てた


「はい、じゃあ空いてる席に座ってください。」


いつもと同じトーンで眼鏡を押し上げながら口にする




「はい…」


先輩から視線を外し席に着こうとすると


今度は昴君と目が合った


昴君…



顔を見ただけであの日の言葉を思い出して
泣いてしまいそうになる



泣いちゃダメだ


これ以上顔を見られたくなくて


急いで席に着いた


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