Sweet〜甘クチ王子様と夏の恋〜

どうしよぉ…


行かなくちゃいけないのに足が動かない



皆が立ち上がり移動し始めてるのに
私だけがその場を動くことが出来ずにいた


そんな私の肩を


−ポン…




優しく誰かが触れた


えっ…


顔を上げて後ろを向くと


昴君が優しく微笑んでた


「萌音、行こっ。」


そのまま私の手を引っ張り立たせて


教室を出た



…ドキン…ドキン…


繋いだ手から昴君の温もりが伝わってくる


こんな時に不謹慎かもしれないけど
久し振りの感触に安心してしまう


何でこんなに安心するんだろう


ただ側にいてくれてるだけで私の心は癒されてくのが分かる



しばらくお互い手を繋いだまま廊下を歩く


別れたなんて嘘なんじゃないかって思うぐらい
穏やかで優しい空気が私達二人を包んでる


このままで居たい…


そんな風に思ってしまう


だけどすぐに現実に引き戻されるように

昴君がパッと繋いでいた手を離した


< 195 / 236 >

この作品をシェア

pagetop