Sweet〜甘クチ王子様と夏の恋〜

「ここ、ポスター剥がれかけてる。」


そぉ言って画鋲を打ち直す


離れてしまった手がスースーして凄く淋しく感じてしまう


馬鹿だな私…


一瞬でも前と同じなんだって錯覚しちゃった


その後もひんやりした廊下を黙ったまま歩いては

ポスターを直していく


何か話したい


でも言葉が出てこない


前を歩く昴君の背中をただ黙って見つめてた





最後の点検場所に向かい

曲がったポスターを貼り直す


「よし、これで終わり。」


昴君が小さな声で呟いた


これで終わり


仕事が終わり
ただそれだけの意味のはずなのに

何だか物悲しく聞こえてしまう


後は会議室に戻って先生に報告するだけ




そぉ思って


「戻ろっか…」


って昴君に向かって口にした


それなのに昴君から返事はなくて


だけど戻ろうともしない


廊下で立ち止まったまま視線は外に向けられていて


なに…どうしたの…


黙ったまま窓の外を見ている彼の横顔を夕日が照らし出す


その横顔があまりにも綺麗で


私は何も言わず見とれてしまってた


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