Sweet〜甘クチ王子様と夏の恋〜
秋風が爽やかに吹き抜けるなか
私は屋上に着いた
目の前には青矢先輩
少しだけ震える身体を押さえる
「お前から呼び出すなんてな」
青矢先輩が口を開く
「俺が勝ったからお祝いとか?」
少しだけ笑いながら冗談めいた言い方をする
青矢先輩…
私は意を決して口を開いた
「私、やっぱり昴君が好きなんです。だから先輩の気持ちには答えられません…」
目だけは反らしちゃいけない
だって
こんな優柔不断な私を青矢先輩は見守ってくれた
先輩が居たから救われた
先輩といた時間はほんの一瞬だけでも
辛い時間を和らげてくれたから
だけどそんな優しさに本当は甘えちゃいけないんだ
青矢先輩
ごめんなさい
私は先輩に甘えてました
「だけど、大羽は俺に負けたんだ。もしかしたらお前の気持ちに答えられないって言うかもしれないぞ…。」
青矢先輩は淡々と言葉にする
「うん…でもそれでもいい。私はやっぱり昴君しか居ないんです…だから青矢先輩の所には行けない…」
「後悔しないか??」
少しだけ切ない声で
でも強い眼差しで聞いてくる
青矢先輩に
「はい。後悔しないです。」
ってキッパリと答えた