Sweet〜甘クチ王子様と夏の恋〜
何泣いてんの
泣かないって決めたじゃない
入場門に近くなり
私は手で勢いよく涙を拭いた
今諦めたらダメ…
必ず今日伝えるんだ
借り物競争が終わったらすぐ昴君の所に行こう
もしダメなら病院まで行けばいい
私達が運命ならきっと平気…
くじけそうになる心に何度も言い聞かせる
「スイマセン…実行委員の中尾です」
入場門に着いて
みんなが集まっている場所に声を掛けてから座った
他の実行委員の人が説明してるのを聞きながら
視線だけは応援席へと向けられてた
昴君が居るかどうかだけでも
確かめたくて辺りを見渡すけど
入場門からは昴君が居るかどうかまでは分からなかった
『最終種目、借り物競争の選手達の入場です』
アナウンスと共に周りの人達が立ち上がったので
急いで私も立ち上がる
そして前から順番に歩き出す
流れに任せスタートラインまでゆっくり行進していくと
応援席の前を横切るのが分かった