Sweet〜甘クチ王子様と夏の恋〜

行進のテーマ曲に合わせて歩幅を進める


先頭を歩く人達が応援席の前を横切る



−ドキン…


−ドキン……


一歩前に進むたびドキドキしてしまう



もうすぐで応援席が終わるところで



1番前の端に
私の好きな人の姿が目に飛び込んできた


昴君…


友達と笑いながら話している姿に胸を撫で下ろす


足を痛がってたり庇ってる様子もなく


普通にしてる


良かった……名波君の言ってた事本当だったんだ


そんな風に思いながら見つめていると


友達と話すのを止めて前を見た昴君と視線がぶつかった



−トクン…


目が合うだけで鼓動が早くなる



昴君……


私は真っ直ぐ彼を見つめて



瞳から私の思いが伝わればいいのにって思った



だけど…


そんなの伝わる訳無くて


昴君は



笑顔を向けるわけでもなく


無表情のまま


私から視線を反らして



まるで居なかったみたいにまた友達と話し出した



−ズキッ…


胸が苦しくなって


涙腺が緩んで目の前が霞んで見えた




いつも目が合うと
柔らかく微笑んでくれて



私はその笑顔を見るたび愛されてる事を確認できた


自分だけは違うって実感できた



だけど……初めて



昴君が私から目を反らした


そしてその顔は



私をもぉ諦めた


って言っているみたいに見えた……




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