Sweet〜甘クチ王子様と夏の恋〜
たくさんの歓声や笑い声が聞こえる
校長先生を探す人
運動マットを運ぶなんて書かれた紙もあるみたい
ふざけた内容が多い中で私は引いたカードを胸に抱いて
ひたすら走った
大好きな人がいる場所に
「昴君!!!」
ビックリする位大きな声で叫びながら
応援席に座っている彼の前に立つ
「萌音……」
私の顔を大きな瞳が覗き込む
−ドキン…ドキン……
心臓が大きく鳴り響く
足が微かに震える
何日か前に逢ったばかりなのに
まじかで見る昴君の顔に
緊張してしまう
誰かに想いを伝える事が
こんなにも勇気がいるなんて思わなかった
「あ…の…」
うわずる声を何とか絞り出し
私はカードを昴君の目の前に出して俯きながら
「一緒に来て下さい!!」
って言葉にした
「えっ???」
目を丸くした昴君がカードを覗き込むのが分かった
私は真っ直ぐに彼を見据え
カードに書かれている
『大好きな人』
を指さして
「昴君が例え負けても…私の好きな人は…昴君なの…」
って言った