Sweet〜甘クチ王子様と夏の恋〜

「あの…昴君!!」


私の手を引きながら走る彼の背中に話し掛ける



「待って!!ゴールするのが先!!」



「はい……」



頭の中は聞きたいことで一杯になる


この手の温もりは本物


この手を取ってくれたのなら


私の気持ちが伝わったの?



だけどしっかりと繋いだ手からは昴君の存在を感じ取ることが出来た



私達がゴール間じかに来るころ


ギャラリーの女の子達が騒いでる声が聞こえてきた



『何で昴と手繋いでるの?』


『なにあれ有り得ない!!』



視線は昴君と私の手元に向けられてるみたいだった




昴君と手を繋いで歩いてるなんて


それだけで大騒ぎだよね



みんなの目と彼女達の声に堪えられたくなって下に視線を落とすと



「マジで、うるせー…」


って昴君が口にした



そして……



「えっ!!!」



気付くと私は昴君に抱き抱えられてた



「これなら運びやすいな。」


楽しそうに微笑む昴君と



顔が赤くなる私


そして『イヤー!!』と叫ぶ女の子達の声



驚く私を怪我なんかしてないみたいに


軽がる抱きながら走る



気付くと一番最後にスタートしたはずなのに
最初にゴールテープを切りゴールしてた


係の人がお題のカードを見て合っているか確認するとニヤッと笑いながら

『1番の中尾さんお題は…大好きな人です!!』

って言った


その発表と同時に

「はぁ!!なにそれ!!」

って昴君のファンの子達の悲鳴が聞こえてきた


あまりの恥ずかしさに顔を隠すと

昴君がみんなに聞こえるくらいの大きな声で叫んだ


「うるせぇ!!俺が好きなのも萌音だから!!
もし萌音にこれから手出したりする奴が居たら俺が許さない!!」



昴君……



自然に目から涙が零れてきた



そんな私を


「萌音…行こ!!」


そのまま抱いて昴君はまた走り出した



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