Sweet〜甘クチ王子様と夏の恋〜

「待って昴君!!閉会式は!!」


「そんなのサボり。」


借り物競争の後は閉会式なのに

昴君にお姫様抱っこされたまま
どこかに連れて行かれる



さっきみんなの前で『俺の好きなのも萌音だ』って言ってくれた



思い出すだけで嬉しくて泣きたくなる


抱かれながら昴君の服をギュッと掴んだ



「萌音…」


走っていた足を止めてそっと下に降ろされた


景色を見ると


あっ…ここ…


私と昴君の大切な場所


中庭にいた





「昴君……」


見つめる私の身体をそっと昴君が包み込む

その瞬間からいつものシトラスの香りが広がった



昴君の匂い


それだけで安心してしまう



抱きしめる力が少しだけ強くなり昴君が静かに口を開いた


「俺…負けた時…萌音は生徒会長のとこに行くって思った…」


どんな顔をしてるか見えない


だけど微かに震えているのだけは分かった



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