Sweet〜甘クチ王子様と夏の恋〜
「俺のほうがずっと片思いだったんだよ。」
「昴君…」
顔を少し赤くしながら話す彼を見つめる
あの日の事はよく覚えてる
だってお母さんが亡くなってすぐだったから
何かをしていないと落ち着かなくて
放課後調理実習室で一人ケーキを焼いた
だけどどんなに料理をしてても
自分の言ってしまった言葉が波のように押し寄せてきて
涙が零れた
それを誰かが見てたなんて
全然気付かなかった
「俺情けないよな…」
昴君が俯きながら口にした
「ううん!!!どっちが先かなんて関係ない。昴君が私を見つけてくれて…だから私は今幸せで…昴君が大好きなんだもん!!」
本当だよ
昴君が好きになってくれなかったら
私は未だに過去に捕われたままだった
ギュッと昴君の腕を掴んで
上を見上げた
それから笑って
「大好き…大好きだよ昴君。」
って口にした
そんな私の顔を両手で優しく包み込んで
「俺のほうがその何倍も好きだから…」
って言ってもう一度キスをした
体育祭の閉会式の声が聞こえる
今年の体育祭は私にとって忘れることの出来ない
大切な想い出になる
誰も居ない中庭で私達は
数え切れないほどの
キスをした