Sweet〜甘クチ王子様と夏の恋〜
私は訳が分からないまま走り続けた
しばらくすると中庭までたどり着いた
そしてパンジー畑の目の前で泣き崩れた
なんで…
なんで…
折角頑張って来たのに…
お母さんごめんね…
やっぱり私駄目な子みたい
またお母さんを悲しませるね
私なんか…
私なんか………
−−−ガシッ!!
誰かに腕を引っ張られたと思ったら
私の周りがシトラスの香りに包まれた
「馬鹿!!萌音!!」
見上げると息を切らした昴君が立ってた
えっ…
私…………
私は昴君に抱きしめられてた
「す…ばる君…」
昴君は私をきつく抱きしめながら言った
「お母さんて何だよ…ちゃんと話せよ。何で俺から逃げるんだよ…俺を頼れよ…」
優しい穏やかな口調で話す昴君の声に安心したら
また涙が溢れてきた
「ワァァァン…!!」
私は昴君の背中に手を回して泣き叫んだ
「泣け泣け!!一人で抱えなくていいから。俺が萌音の悲しみ全部貰ってやるから…」
「…っ」
昴君…
昴君………
「萌音は一人で頑張り過ぎなんだよ」
そぉ言って私の背中をそっと摩ってくれる
シトラスの香りに包まれていると
次第に気持ちが落ち着いていくような気がした
昴君は私が泣き止むまでずっと抱きしめてくれていた
「あ…のね…ヒック…」
「うん?」
「聞いてくれる??」
私は一年間一人で抱えてきた気持ちを話し始めた