Sweet〜甘クチ王子様と夏の恋〜

久しぶりの大きな手の平の温かさになんだか照れ臭かった


−−パチン…パチン…

ホッチキスの音だけが聞こえる


いつの間にか他の人達は仕事が終わったのか居なくなっていた


「外…暗くなったな…」

昴君がポツリと呟いた…

「うん…そうだね…」


窓の外を見ると真っ暗な空に星がキラキラ輝いていた


夜の教室で二人だけ…

そぉ思うと静かだった鼓動がダンダンと速くなっていくのが分かった


チラッと昴君を見ると資料を一つづつ丁寧に止めていた


その横顔は凄く綺麗で私は手を動かすのも忘れてた眺めていた


しばらく沈黙の時間が流れたあと口を開いたのは昴君だった


「手…」

「えっ…」

「右手治って良かったな…」

そぉ言って資料を見つめていた瞳は私をゆっくりと捕らえた

「うん。ありがとう…」

じっと見られてるのが恥ずかしくてそっと視線を下に落とした

「萌音…大会出れなくて落ち込んでない?」


昴君……

心配してくれてたんだ…

「あのね…昴君のお陰で立ち直れたんだよ…私。」

「萌…」

私は視線を真っ直ぐに上げて昴君を見つめながら言った

お母さんの死から私を救ってくれたのは昴君だった


それを伝えたくて一生懸命言葉を繋げた

「昴君が居たからお母さんに愛されてた事思い出せたの…料理を作る楽しさも思い出せた…」


「萌音…」

私は精一杯の笑顔で

「昴君が居てくれて嬉しい…ありがとう昴君…」

って言った…


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