%やっぱり俺様が好き!(作品紹介&つぶやき)%
3段。
たったの3段だ。
私は目の前にそびえたつステップを睨んだ。
しかし。
今の私にはエベレスト登山よりも不可能な偉業に思える。
せめて、手すりでもあればいいのだが、機械に囲まれたベッドにそんなものはなく。
・・やるしかない。
看護師さんの手を全力でひっつかみ、一段を登るのに多分1分くらいかかったと思う。
それでも耐えに耐え、猛獣のように大声を出すことはしなかった。
だって、いきんじゃいそうだったから。
『お前、お母さんがベッドに上れなかったせいで階段の途中で産まれたんだってな』
『や~い、階段の途中で産まれた。階段途中、カイダン!』
こんな時にも、妄想だけは忘れない自分が可愛くて仕方ない。
いやいや、妄想などでは決してない。子ども社会はシビアだ。
あだ名がカイダンとかになったら困るではないか。
そんな汚点を大事な子どもに背負わせてたまるもんか。
最後の力を振り絞り、私は機械の上を大またでまたぎ、ようやく頂上(ベッドの上)へとたどり着いた。