* 姫と不良と王子Life *
この声に真っ先に反応を見せたのは目の前にいた犬で、ものすごいスピードでゥチの横を通り過ぎて行った。


少し経つと


「おっ、ちゃんとあいつを見ててくれたんだな。ありがとな」


そう言いながら近づいてくる、足音と犬の荒い息遣い。



おい黒崎、と呼ばれて渋々振り向けば予想通り桐川がいて、


省吾「何でお前一回も教室に来ねぇんだよ」


と、聞いてくる。



桐川がいるから、なんて直接本人に言える筈もなく黙っていると返事をもらうのを諦めたのか
ため息をついて



省吾「理事長が話したい事があるから帰りに理事長室に寄ってくれだとよ。」




用件を早口に言って、
ホントに何で俺がパシられてんだよ、と文句を言いながら扉に向かっていく


怜「ちょっと待てよ、ここって何処だ??」


そう聞くと桐川は足を止めて振り返って、めんどくさそうに言う

省吾「あぁー…保健室だ」


怜「何で俺は保健室にいるんだ」


省吾「俺が運んだんだよ。お前が全然起きない上に5時になろうとしてたからな。
いくら変なあだ名ばっかつけてくるムカつく野郎でも、屋上にほったらかしにすんのは気が引けたんだよ。」


怜「いや別にほっといてくれても良かったけど…」


省吾「ほぉー。
お前は屋上に閉じ込められたかったのか。知らなかったぜ。邪魔して悪かったな」


そう言うと再び歩き始めた



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