【CORORS①】虹色の扉
逃亡。光りを求めて
「ニコラス様が海の中に投げ出されたと聞いた時は、生きている心地がしませんでした」
「心配かけたな」
「しかし、よくご無事で」
「ソフィア殿が助けてくださったのだ」
「ソフィアとは?」
「彼女は、――……」
この数日の経緯(イキサツ)と彼女への想いを語り始めた。
偶々この島に流れ着いた俺を助けてくれた彼女。
断片的な記憶を失っていても懇親的に世話をしてくれていた事。
メルセデス殿の婚約者と知りながらも彼女への想いが膨らみ、また彼女も自国を捨て、俺と一緒になってもよいと。
メルセデス殿がこのヨルデス国王であった事をシモンに伝え、改めて大変な事をしてしまったと今更ながらに思う。
「それで、恩人であるソフィア様はいずこに?」
「……囚われているはずだ。俺と別の牢に」
「……」
「シモン、勝手であるのは承知だ。彼女を、ソフィア殿を助けたい」
「お気持ちは察しますが、次捕まれば命の保証はございませんよ」
「大丈夫だ。俺は不死身だ」
不思議と死の恐怖などはない。
それよりも、彼女を助けたいという想いが強くある。
「かしこまりました。仰せのままに致しましょう」
シモンは、フッと笑みをし、肩を下ろして言った。
「すまぬ。ところで、ルイスとトニは?」
「出口の確保と足止めをしている事でしょう?」
シモンは、軽くウインクをしながらサラッと答えた。
こんな事態でも楽しんでいるとは、さすがだな。
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