【CORORS①】虹色の扉

 午前中の授業の終わりのチャイムがなり、簡単に掃除を済ませてイソイソと教室を出る陽菜。

彼女を追いかけるように、私も教室を飛び出す。


「陽菜、そんなに慌てなくたってプールは逃げないよ?」

「あ、あのね……忘れていたの」

また、ダブル約束?


「何を?」

急にモジモジし始めた。

こんな光景はしょっちゅうだから、気にもならない。

約束をした事を忘れて、ダブルブッキングなんて、数知れずだもの。


「み、水着……買ってないの」

「へっ!?」

プール行こうって誘ってきたのは、陽菜さん、貴女よね?


「だからね、プールに行く前に買いに行かなきゃって……思って」

ねっ? 
天然でしょ?

「……」

水着買わなきゃって、確か、去年から言っていたよね?



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