【CORORS①】虹色の扉

「千郷はどんなの用意したの?」

用意というより、既に着ているんだけどね。

「それは──」

こんな人前でなんか、言えるわけないじゃない!!

ま、普通のものよ。

ここは、ショッピングモールの水着売場であります。

「迷うなぁ。
こっちのピンクも可愛いし、黒も大人っぽくて魅力よね?」

迷う程、品数も無いでしょう?

「なんでもいいから早く決めなさい!!」

この優柔不断な為、結局何も買わない事の方が多いのよ。


「決めた!!」

彼女が選んだのは、ピンクでも黒でもない。

レモン色の、背中がザックリ開いたもの。

何故そうなるの?

貴女の頭についていけないわ。

ったく。
水着なんて、プールにも売っているじゃない!!


「だって~、あんな所で買ったら如何にも忘れました~、ってみんなに知らせるようなものでしょ?」

大きな紙袋もって、プールに行く方が、恥ずかしいと思います。

彼女は、ようやくお気に入りをGET出来た事が嬉しくてたまらないといった感じ。


 店を出ると、一匹の──

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