【CORORS①】虹色の扉
甘かった。
水に足をバシャバシャと投げ出しても、何もスッキリしない。
「ねぇ、あそこ見てよ。
レベル高くない?」
急に瞳をキラキラさせ、一つの方向に、指をさしている。
「何の?」
「決まってんでしょ?
お・と・こ♪」
貴女の目的は、それだったのね?
「そう?
只のチャラ男じゃない」
あんなの何処にでもいるよ?
「また~、千郷の堅物」
はいはい。
なんとでも言って頂戴。
「私、中で休んでいるし、行ってくれば?」
今はそんな気分じゃないのよ。
さっきの不気味な声が、頭から離れないんだから。
今日だけは陽菜、貴女のその楽天的な脳ミソ、分けてもらいたいわ。
「ちょっと、ち~さ~と~!!」
後ろから飛んでくる声に振り返る事なく、休憩室に向かう。
取り敢えず、喉を潤す為にコーラを注文する。
誰もいない丸テーブルに頬杖を付き、陽菜のいるほうをボーっと眺めている──