【CORORS①】虹色の扉

 ──ガバッ

身体中汗でグッショリ濡れている。

ここは、見覚えのあるクリーム色の私の部屋のベッドの上。

「あ、起きた?」

あれ?
陽菜? 
夢? 
全て夢なの?

違う。
全て現実のものだ。

その証拠にガウンを羽織ったその下は、水着を着たまま。
肩の結び紐は結ばれているけど。

「千郷大変だったんだよ?
 覚えてる?」

コクン。
黙ったまま小さく頷く。

なんとなく。

だけど、何処をどう帰ってきたのかも覚えていない。

「っていうか陽菜、無事だったの!?
 あのワカメ男に──」

「アハハ、心配性だね。
 うん、あのタイラって奴お尻ばっかり触ってくるんだもん。
 あったまきたから蹴飛ばしてきた」

「………」

陽菜さん、貴女ってそんなに強かったの?

「で、千郷が心配で探してみたら案の定だしさ。
でも良かったよ♪」

その場を助けてくれたってのは納得出来たんだけど……

私の頭はハテナマークがいっぱい。

「っていうかさ、なんで言ってくれなかったわけ?」

「何が?」

「何がじゃないわよ、この色女──」

へっ!?

彼女が言うには、ずっとお姫様抱っこをされてきたみたい。

一体何処にそんな物好きがいるのよ?

ってか、それ誰?


「駆けつけた時、強い風と黒い花弁が舞って一瞬にして現れるなんて魔術師みたいじゃない?」

そんな人知らないよ?



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