【CORORS①】虹色の扉
陽菜は一人で弾んだ声を出して盛り上がっている。
「見てるこっちが恥ずかしくなってきちゃった~」
そんなこと聞いた私は、もっと恥ずかしいんですけど?
「で、何処で見付けたのよ? あんなイケメン!?」
私の記憶にはそんな人……いない。
「あっ」
一人思い当たる。
「やっぱり隠していたね?」
隠していたわけではない。
美郷の彼……たしか魔術の勉強していたっけ?
普段は優しいのに時折魅せられる怪しげなオーラを放つ人。
忘れていたよ
「陽菜、その人……いつまで傍にいたの?」
「この家の近くに来たら消えちゃったのよ。
不思議よね?」
消えた?
そういえば、さっきも……
私をここまで連れてきたアナタは誰?
ねぇ美郷、貴女が引き合わせているの?
それとも、ただの通りすがりの人なの?
答えが返ってくるはずもなく静寂な空気の中、眠た気に扇風機の首が動くだけ。
どうしてお空に逝っちゃったの?
― 教えてあげようか?