【CORORS①】虹色の扉

既に美郷は事を進めているという。

黒の世界──
つまり、悪魔に魅いられられた世界。

この世界の王様である黒大使という方に私が生涯を捧げれば、美郷は再び生を受ける事ができるって。

『貴女は、彼に気に入られているようですし。
 こんな素晴らしい事はないでしょう?』

もう、私の知っている優しい美郷じゃないんだね?

黒猫が現れた時、頭の中で響いた言葉。

夢の中で聞いたあの声

謎だらけのパズルが少しずつ繋がったような気がする。

私を運んできたというあの人は誰?

美郷が昔想っていた人? それとも──

『貴女に考えている余裕はないわ。
 二週間後の新月の晩に迎えにくるわ。
 せいぜい身体をキレイに洗っておきなさいね』

嫌よ。
今の美郷は、あの頃の大好きだった彼女じゃないもの。

彼女が生を受ける代わりに、私が悪魔と生涯を共にするなんて──

一つ思い出した事がある。

もしかして……私、
もう契約書を交わされている!?



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