【CORORS①】虹色の扉

 差し出された彼の手に私の右手を重ね玄関先へ。

 さっき女の子が滑り出した虹の道を私も歩いている。

 これは、夢ね。

 きっと目が覚めたら今手に持っている赤い薔薇の束も、何もかも無くなってしまうのね。


 「言っとくけど、夢なんかじゃねぇぞ」

 彼は、私の心の内を全て知っているかの様なタイミングで言葉をかけてきた。


 「さぁ、今宵は存分にお楽しみください。桃香様♪」


 「何……急に」


 「言ったろ? 桃香限定スペシャルライブって。主役はアンタ。俺は今宵、貴方のピエロになりますぞ」


 「(笑)可笑しな人」


 「笑うと可愛いな」


 「そんなこと……。ねぇ、貴方何者?」


 「直ぐ解るさ」



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