【CORORS①】虹色の扉
荷物、家に届いているし同姓同名ってだけじゃないよな。
頭がクラクラしてきた。
だ、だってそこは男子禁制の女子学院。
しかも、エスカレーター式。
俺は、健全な男なわけで……。
記憶を辿る。
俺、あの時ズボン穿いていたよな。
……おネエ言葉なんかなんかで話していないし。
唯一つ、俺の致命的なことがあったとすれば、男にしちゃ低い身長とまだ声変わりをしていなかった事。
あのプロダクションの奴が勝手に俺を女だと思ったのか、それとも男と知っていての嫌がらせか。
「母さん、俺この話断る!!」
「ダメよ。
契約金全部使っちゃもの」
「はぁ!?」
って、一体いくら貰っていくら使ったんだ!?
「か、母さんも知らなかったんだよ。
この際だ、アンタは男を捨てて絶世の美女目指すんだね」
開き直っているし……。
仕方なく覚悟を決め、否、人生を諦め牢獄に入るつもりで聖百合愛学院に入る事にした。
「今日から転入してきました、葛上さんです。
皆様仲良くしてあげてくださいね」
「「はい」」
礼儀正しく座り顔だけを俺たちのいる教壇にむけ、笑顔で答える聖女達。
こんなにも視線を向けられると居心地が悪いものだな。
俺も挨拶を交わし席に案内された。
隣を見ると彼女もまたこっちを見、いきなり吹き出さられた。
感じ悪い奴。
「翼でしょ?」
「えっ!?」
俺を知っている?
そんなバカな。
此処は学区内でもなければ、近隣域でもない。
「アタシよ、梨乃。槇原梨乃(まきはら りの)」
俺の心の質問に答えてくれた。
……どうして梨乃が!?
彼女とは幼馴染って奴だ。だが、南の地へ引っ越したはず。