【CORORS①】虹色の扉
月日は勝手に流れ、俺はポツポツ仕事が入るようになった。
手始めは、雑誌モデル。
響きいいだろ?
イケメン男性モデルだったら俺も舞い踊るんだが。
「ハイ、これに着替えてちょうだい」
マネージャーの木崎さんに手に渡されたそれを、ヒラリラと扇がせる。
当たり前のように、男が穿くような二つの股を通すものがない。
代わりに大きく筒のようになっている。
こ、これは──。
「あのぅ、これ、スカート……ですよね?」
「当たり前よ。
Girlsに掲載されるのよ。
今をトキメク少女たちの最先端を飾るの。
新人で2ページは大仕事よ」
「……はぁ」
いや、だから俺は男なんだってば。
「時間がないの。
早くしてね!!」
「はい!!」
木崎さんの勢いに、つい返事をしてしまった。
この人は俺を本当に女だと思っているのか、からかっているのか、……謎だ。