【CORORS①】虹色の扉
ジャーン!!
「まぁ、可愛い。
ツバサはキュート系決まりね」
木崎さんは、瞳を星のようにキラキラさせ、手を組み本当に嬉しそう。
これって、喜んでいいのだろうか?
「あ、ありがとうございます」
心の疑問に反して、口が勝手に動いていた。
どんな姿であっても、誉められて嬉しくない奴はいないだろう。
何度も言うが、俺は男なわけで……。
けど、確かに鏡に映った自分は、何処からどう見ても女の子。
ボーイッシュなんかじゃなく普通に女だ。
ミニスカートの下から覗く生めかしく、ほんのり小麦色の足。
フリフリのチュニックとかいうやつにショート丈のベスト。
スタイリストさんに手入れをしてもらった顔。
その姿を見て、頬の色が紅く染まっていく姿が鏡に映っている。
「ね、可愛いでしょ?」
今、これが鏡ではなく生身の奴だったら、間違いなく恋に落ちた。
ありえねぇぇぇぇぇ!!
更に月日が経ち、今に至るってわけよ。
もちろん百合愛にエスカレート。
勉強は嫌いじゃないからそれなりの成績であがる事が出来たわ。
どうよ。
言葉も少しは女らしくなったかな。
そして、今は雑誌の表紙は当たり前。
やるからには徹底的にやるのが俺……私の主義だからね。
しかし──。
「翼、今日も来てるわよ」
「じゃ、アリバイろしく~」
「ちょっと~、待ちなさいよ。
何でアタシがアンタのアリバイを作んなきゃならないのよ!!」
「彼女であり、親衛隊隊長だから」
キーキー怒る梨乃を尻目に教室から移動する。
悪いな。
俺、あいつらだけは苦手なんだ。
まだ、ファンと名乗る人の方が可愛い気がある。
私生活を暴かれたら、生き恥もいいところだろ?
否、既に男を捨てた時点で生き恥を背負っているのか。