【CORORS①】虹色の扉
女優デビュー
今までは、学校の人たちに例の活動をしていること、バレていなかったらしい。
ところが、この間の文化祭でミスコンもどきをしたの。
此処に通っている以上、私も一番になろうと思ってね。
普段は化粧なんかしないのに、その日だけと思って、教えられたメイクをしてステージにたったのが間違いだったわ。
「ねぇ、TUBASAちゃんよ」
「やっぱり可愛いわね」
「でもどうして我が学院に?」
体育館に響く噂声。
ヤバイ!!
出番が終わり、トイレに駆け込んで化粧を慌てて落としたんだけど……。
TUBASAに成りきったままでいればよかったわね。
「TUBASAちゃん、あの……、葛上さん?」
「あら、星野さんそんなに息を切らしてどいしたの?」
「大変よ、今TUBASAちゃんがこの個室に入るのを見たの」
えっ!?
「変ね。誰も来ていないわよ」
「そんな筈はないわ。
体育館から私追いかけて来たんですもの」
付けられていた?。
仕方がない。
「星野さん、実は彼女に頼まれたの。
匿って欲しいって。
だから──」
「いいわ。
隠し通せるならやってみなさい。
私、必ずTUBASAちゃんの正体を捕まえるんだから」
彼女はジャーナリストを夢見て、学校中の有りとあらゆる情報を手にしている。
聖女ってお嬢様ばかりかと思っていたけど、こういう個性的な人たちも多く見られる。
そして、彼女とメディア各社が手を結んだものだから、マスコミの人たちが毎日押し掛けてくるわけ。
学校側は
「我が学院にメディアを騒がせる人はおりません」
と言い切ってくれている。
有難いやら、悲しいやら。
私的には、いっその事、全てを曝け出してしまいたい。
そしたら、コソコソしないで済むし。
でも、それをしてしまったら、トップから一気に落胆するのは見えている。
それはそれで困るわけで。
ま、脱ぐわけじゃないからね。
もう少し、世間様を騙し通して見せますか。
この安易な考えが、俺を更に悩ませる事になろうとは──。