【CORORS①】虹色の扉
しかし、噂っていうのは怖いくらい流れが早い。
クラスだけでなく、学校中から注目を浴びるようになった。
4年間バレずにすんだのが不思議なくらいだよ。
「葛上さんってTUBASAちゃんと同じ名前よね」
そりゃ、私だし。
「この学院にあなたが来た時期とTUBASAちゃんが売れ出したのも同じ時期ね」
「それは、ぐ、偶然ね」
「偶然?
必然でしょ?」
「やっぱり葛上さんがTUBASAちゃんなの?
似てると思っていたのよ」
ハハハ……。
頬がひきつりうまく笑う事もできない。
騙し通せるのも此処までか。
俺は助けを求めるように、梨乃に顔をむけた。
「バレちゃったわね。
そうよ、翼がTUBASAちゃんよ♪」
……裏切り者!!
「槇原さん、人が悪いなぁ」
「そうよ。
情報は共有しないと」
「別に。
今まで聞かれなかったし。
それに、翼はアタシにとっては、大切な友達には変わらないもの」
ま、活動しているのがバレたところで問題はないけどね。
私が性を偽っていることがこのクラスの人に、この学校中に知れ渡ることの方が、大問題のような気がする。
「私たち、あなたの味方よ」
「そうよ、メディアの人なんか追っ払ってあげますわ」
なんか、感動!!
「ありがとう。
それから黙っていてごめんなさい」
本当の俺を曝け出せなくてごめんなさい。