【CORORS①】虹色の扉
「やっぱり貴女がTUBASAだったのね」
「星野さん……」
忘れていた。
メディアのスパイが此処にいたんだった。
ま、TUBASAが百合愛にいると分かれば高感度アップは間違いないわね。
それを計算されて、此処へ転入されたわけだし。
「此処はアルバイト禁止なの知っているわよね」
「え、えぇ」
アルバイトじゃなくて正式な契約なんだけどなぁ。
それに、此処、事務所の人が勝手に転入手続きしたわけだしぃ。
「私、校長に報告してくるから。
それとメディアにもね」
「どうぞ」
それで退学になるなら、それでも構わない。
ただ、今退学になったら卒業まであと少しなのに勿体ないなぁ。
4年間だけでも、誰も出来ないような貴重な体験をしてきたわけだし。
ま、いいっか。
「翼、あんな事言って大丈夫なの?」
「そうよ。
あんなスパイ女に言われっぱなしなんて」
「ごめんなさい、私たち貴女を守るって言ったのに」
「平気よ。ありがとう」
このくらいでしおれる翼様ではございません。
此処まで上り詰める為に、ありとあらゆる努力をしてきたのだから。
数日後呼びだされた。
覚悟を決め、学院の聖域とも呼ばれる校長室の扉を潜り抜けた。
予想していた事態は起きず、私はこの学院で残留する事になった。
星野さんが本当に校長と話したのかは謎のまま。
しかし、一難去ってまた一難が待ち受けていようとは──。