【CORORS①】虹色の扉

 この星に来て、櫂の事が少しだけわかった。

 彼は、この国の王子さまの側近に当る人なんだって。

 一応重役らしい

  どうみても、偉い人には見えないけどね。

 此処は、夢を見させてくれる国ドリーム星。

 月に隠れているから、存在を知られる事はないとかなんとか言ってたな。


 「私を見つけた理由は何?」


 「別に。何となくアンタの声が届いただけ」


 「なんとなく……か」


 「俺達は、淋しい心の人を見つけるのが仕事。アンタさぁ、振られた彼に未練タラタラで毎日過ごしてたろ?」

 「うっ……」


 「さっき、鈴(リン)……空便で来てくれた子居たろ?」


 「うん」


 「彼女がアンタを見つけたんだ。このままじゃ影の世界に連れてかれちゃうって」
 

 「影?」


 「解りやすく言や、死の世界って事」


 「……」


 「俺等は、そんな想いを知ったところで勝手に此処へ連れてくることは出来ねぇ。そんな時アンタの声が届いたから迎えに来たってわけ」


 「私の?」


 「そう。一人は淋しいから誰か来てって」 


 「あっ――」


 「アンタが呟いてくれて良かったよ」


 「ありがとう」


 「別に。礼を言われる様なことはしてねぇよ。アンタが生きたいと願わなけりゃ、今アンタは此処にはいない」


 生と死は、いつだって隣合わせ

 自分が望めば、そのどちらの道へも足を運ぶ事が出来る……か。

 私、生きたい!!



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