【CORORS①】虹色の扉
外国に来てしまったのか、と思う程の広さ。
ふんわり漂う香りが、心を落ち着かせてくれる。
天井にはシャンデリア、街の夜景が一望出来る、大きな窓。
此処って……。
「スウィートルームだよ」
それは見れば分かる。
ただ、此処を案内される理由が分からない。
「今日は、この部屋を君にプレゼントしようと思ってね」
「もったいないです」
皮膚が逆立ってきたよ。
鳥肌というよりハリセンボンのようになってきたし。
もし、私の考えが間違いでないのなら──
ジリ、ジリと、桜小路との距離が縮まる。
少しずつ後退りするものの、壁が邪魔してそれ以上は戻れない。
「怖がらなくていいさ。
これから俺たちは恋人を演じるのだから、親睦を深めるだけさ」
桜小路の左手が私の顎を捕らえ、右手で私の身体をスッポリと包まれた。
ま、待て。
私……俺、男!!
しかし、抵抗する事も心の叫びを放つ事も出来ず
俺と同じフェロモンの奴にネットリ絡み付くkissを交わされた。
嗚呼、俺のファース.トキスは哀れなり。
どうする!!
このまま蛇に捕らわれたままだとこの先は
──#×☆※
「あ、あの……」
「美味しいデザートはこれからだよ」
俺、そんな趣味ないし。
「すみません、家門限があるんです」
「そんなの破るためにあるのさ」
寮長怖いんだからな!!
「そんなに焦らなくても、ずっと、一緒に撮影するわけですから……」
俺、今墓穴掘ったかな?
「そうだね。
この部屋はいつでも君の為に開けておくからね」
何も言えない。
こんな台詞を、いったい何人の女性にしているんだか。
とりあえず、それ以上の展開にならなくて良かったよ。