【CORORS①】虹色の扉
「此処で?」
「そう、此処で」
大浴場の赤い暖簾の前に来て、初めて打ち明ける決心した。
「そういうことね」
「……ごめん」
「いいわ。
その代わり条件があるの──」
む、ムリ、無理!!
彼女の出してきた条件は、私もそのシーンに同行する事。
それが出来ないから、最後の頼みの綱としてお願いしていたのに。
な、何故!?
「だって、台詞は私無理よ、声は違いすぎるもの」
梨乃は、私より肝が座った女優だよ。
結局、二人揃って女湯の扉を潜った。
「か、勘違いしないでよね。
あなたのものになるって決めたわけじゃないから」
「わ、わかってるよ」
彼女であり、競演者であり、最大のライバル。
だけど、心の準備とかもしていないわけで。
「絶対見ないでよ!!」
「見ません!!」
でも、ちょっと勿体ないかも。
バレないようにコッソリ……。
や、止めておこう。