【CORORS①】虹色の扉
俺は、男である証をコイツに握らせた。
これでも女に見えるか!!
濁り湯と涌き立つ煙に包まれているお陰で?
スタッフの目に俺の代物は映っていないようだ。
桜小路は口から泡を吹き、そのまま湯の中に沈んでいった。
カメラマンをしている大男の熊田さんが、彼を抱えていった。
「やれやれだな」
「やれやれじゃないわよ、自分からバラしてどうするの!?」
……何も考えていなかった。
「まぁ、守ってくれて、ありがとう」
「あのさ──」
「翼、消毒してくれる?」
えっ!?
それって……。
俺がポカーンと梨乃を見ていたら
いつもはポーカーフェイスな梨乃からkissをしてきた。
もうダメ。
……女に戻れねぇぞ。
俺たちは濁り湯の見えないところで、愛を育んだ。
梨乃、お前最高に良い女だな。