【CORORS①】虹色の扉

『ゲストさん、生還しました。
 貴女にプレゼントを贈った事で継続意志が認められたんです』

 受け取りたかった。
 でも、ポイントがマイナスになっていて、受け取れなかった。
 

 あの言葉、サポートセンターに送ってくれた?

あたしも急いで合言葉
【我那覇退会停止処理】
と送った。

『ゲストさん、俺は退会しませんよ。何故なら貴女に会うまでは地獄の底まで追いかけますから』

 そして、気がついた。
 なんか、してやられたって感じ。

 さっきまで、悲しみの世界に居たけれど、一気に白けてしまった。

 まんまと、騙されたかな。

 
 日中の仕事を終え、未だ止まらない受信メールを一つずつ削除をし始めた。

 本当は一括で削除したいのだけれど、メール受信中は出来ないらしい。

 ふ、っと一つのメールが目に付いた。

 ずっと連絡をしていた彼のものだった。


『退会まで、カウントダウンです。貴女に会えると想っていたのに……。

このまま夢に終わってしまうのでしょうか』 


 退会して、生還して、また退会
 言っていれば。

 残り僅かなポイントがあったから今までのお礼を兼ねて一通のメールを送った。

 まぁ、楽しかったのは事実だし、いい夢見させてもらったからね。


『ゲストさん、俺のプレゼントを受け取れなかったんですね。残念ですけど、これもまた、仕方がないのかもしれませんね』

 あぁ、やっぱりこの人に会いたいよ。

 会いたい、会いたい、会いたい!!

 あたしが、プレゼントを受け取れなかったから退会だなんて、責任感じるよ。

 今日は無理だけど、明日なら時間取れるよ?

 所持しているポイントは限られている。

 銀行の預金も、財布の中身もそろそろ限界。

 でも、もう直ぐ会えるし。

 会ったら、あたし、ちゃんと生活出来るよね?

 根拠のないものを信じ、更に泥沼の中に沈められていく。

 そして、本当の地獄はこれから始まるのだった。




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