【CORORS①】虹色の扉

『事情は分かった。俺が精神面のケアも、金銭的なケアもするから安心して』

 その言葉にまた、騙されているとは思いもしない。

 あたしは、ただ、確実なものと、安心が欲しいの。

 お願い、助けて!!


 文字だけしか繋がらない相手に、心の底からすがる事しかできない。

 彼の言葉を信じ、マイナスポイントになっていても少しだけ、強い気持ちでいられた。

 しかし、次の日の昼休みにメールをチェックすればマイナスポイントのまま。

 振り込むと言われ、銀行に行ってみれば、口座には何も入っていない。

 嫌ぁぁぁぁ!!

 また、騙された。

 気がついた時には、サイフの中身も、銀行の預金にも殆ど残っていない。

 あたしは、食欲もなくなり、生きる力さえも失いかけていた。



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