【CORORS①】虹色の扉
このまま、死を迎えるしかないのかな?
そんなの嫌だ。
……でも、どうしたらいいんだろう。
こんな事、家族に言えない。
会社の人にも、相談できない。
脱け殻のように、息をするのがやっとの状態。
……気持ち悪い。
日も暮れる頃、忘れていた現実の元彼の存在を思いだし、電話で相談した。
『どうした?』
「あたし、やっちゃった。……出会い系。どうしよう、このままじゃ、取り立ての人来ちゃうよ。あたし、死にたくないよ」
『それ、騙されているんだよ。
大丈夫だから。
まさか、個人情報は言ってないよね?』
「多分、言った」
『多分って、何?』
そう、全て言ったと思う。
文字だけで、根拠も何もないのに、誕生日から家の電話番号、連絡して欲しいから携帯電話の番号、メアドまで。
だって、会えるって信じていたんだもの。
『ったく、もっと早く俺の事思い出せよ』
「本当だね。此処に確かな存在、あったね」
『そうだよ。
今直ぐ飛んで行きたいけど、ごめんな。
近いうちに消費者生活センター行ってきな、絶対大丈夫だから。
俺、一緒には行ってやれないけど』
「あたし、死なない?
取り立て来ない?」
『大丈夫だから』
彼の優しさが、心に沁み安堵感が広がった。
その日の夜、久々に安心して眠りに就くことが出来た。