【CORORS①】虹色の扉
「塘之さんは、甘い物はお好きですか?」
「うん、大好き♪ だから、この仕事に就いたんだ」
「良かった♪」
彼女はにっこり微笑み、細い道の所々に置いてある木のベンチに腰かける。
薫さんは、手に持っていた風呂敷を開け始めた。
「ヨモギ餅作ったんです。……お口に合うかどうかは分かりませんが」
「ありがとう」
包みから現れた重箱の中に詰められた濃い緑色のヨモギ餅を、笹の葉に乗せて。
いつでも何処でも食べられる様に、笹の葉を常備しているのだとか。
口いっぱい拡がるヨモギの香りと程好い小豆の甘さ。
「女将さんの出す味とはまた違うんだね、これ皐月店の看板商品になれるよ」
「そ、そうです……か?」
「うん、僕達は、唯企画を提案しているだけじゃないからね(笑)