【CORORS①】虹色の扉
「あなたのお母さんって人に頼まれたのよ」
「えっ!?」
「大した人よね。亡くなる前に“願いを一つ叶えあげる”って言ったら“涼香を幸せにしてあげて”ですって」
「願いを叶える? って……あなたは神様なの?」
「まさか(笑)でも、似たようなものかな?」
「……?」
神様の友達?
「私たちの仕事はね、あなた達を幸せにしてあげること」
「幸せ?」
「そう、と言っても切っ掛けを与えるだけ。後はあなた次第ってとこね」
「私次第?」
「そうよ。“幸せになりたい”って心から願わねば掴めないし、願うだけでもダメ。
だから、あなた次第。
泣くのは自由だけど、幸せを願うなら今日で最後にする事ね」
「……分かったよ」
「どんな事があっても笑い続けること。それをこの花の前で約束してくれるかしら?」
「うん、約束する。……私、どんな事が起きてもこれから笑っている」
「よしっ(笑)じゃ、私はこれで」
それだけ言った鈴という人は風のように消えてしまった。
心の中に温かな風が入り込んだ気がした。