【CORORS①】虹色の扉
「俺じゃ頼りないか?」
「そんな事……」
いつにない力で抱き締められる。
祐希くんの胸、こんなにも大きかったんだね。
背中に回された手が優しく解かれ、真っ直ぐな瞳を向けてきた。
「今日お前を此処に連れて来たのには、意味があるんだ」
「……?」
「カキツバタの花言葉知ってるか?」
「ううん」
「未来の幸福って意味があるんだ。そして、その周りに咲く小さな花は――」
「ルリハコベ、約束でしょ?」
「うん、よく知っているな?」
「昔、教えてくれた人がいてね」
「誰?」
「鈴って名乗ってた」
「そっか。……それはそうと、未来の幸福を約束するってことはわかる?」
祐希くんは少し大人びた、それでいて悪戯小僧のような顔を浮かべて問いかけてきた。
「……?」